不動産の相続が必要になったら
どの専門家に相談すればいい?
「役所?弁護士?不動産屋?銀行?」【徹底解説】
「いざとなった時、そもそも誰に相談すればいいんだろう」
遺産相続の中でも価値が明確にわかりづらく、分けづらい不動産相続は特に難しいとされています。また、相続手続きには税理士や弁護士、司法書士、銀行、不動産業者など、たくさんの専門家が関わることから、いざとなった時にまず誰に相談すればいいのか不安に思う人も多いのではないでしょうか。そこで、不動産相続についての役立つ情報をご紹介いたします。
もくじ
1.誰に相談したらよいかわからない人が多数
不動産相続について誰かに相談する状況になった際に、相談できる窓口として思い浮かぶのは、弁護士や司法書士、行政書士、税理士などの士業といわれる人たちのほか、銀行などの金融機関、役所などの行政とたくさんあります。
一口に不動産相続といっても、それぞれの状況や問題となっている点が異なりますので、不動産相続に強い適切な相談先を選ぶのがポイントになります。
2.「相続前の事前準備」と「相続が起きた後」では相談相手が異なる
相続前の事前準備と実際に相続が起きた後とでは、対応方法が異なってくるために相談相手も変わってきます。相続前の事前準備では様々な選択肢が考えられますので、それぞれの家族構成や要望に沿った対応ができる人に相談しましょう。
また、相続問題で対象者同士が揉めてしまっているケースは多々あります。この場合は、弁護士以外では法律事件に関して鑑定、代理、仲裁といった取り扱いができなくなります(非弁行為の禁止)。
3.相続で大事なのは、相続前の事前準備[重要]
不動産相続の事前準備や相続前の税制度の活用対策は、ご本人が元気な間に行うことが最も重要となります。税の優遇制度の活用に関しては税理士の仕事になりますが、相続が発生する前段階では生前贈与などで、安心できる状況をつくっておきましょう。
また、高齢化社会が進んでいる現在では認知症対策も不可欠です。ご自身が認知症になってしまうと全ての判断がストップしてしまいかねません。
その対策として、信頼できる家族に管理・処分を任すことができる「家族信託」を行なっておくことも必要です。
4.相続前の事前準備を「街の不動産屋さん」へ相談するべき理由
不動産相続において、相続前の事前準備は「街の不動産屋さん」に相談するのが最適です。その理由としては、対象となる不動産物件を普段から取り扱っていることから、実際の価値や運用方法を具体的にアドバイスできるからです。
相続税評価は1億円と言われている物件であっても、実際に処分したら3000万円ということはよくあります。
また、不動産相続には様々なことが起こり得ます。それらの状況にフレキシブルに対応してくれることも「街の不動産屋さん」に相談するメリットです。
5.「相続が起きた後」を主たる業務とする専門家
不動産相続の手続きでは、それぞれの業務によって多くの専門家の力が必要となります。主に相続が起きた後にサポートしてくれる士業といわれる職種の役割を紹介いたします。
5-1.弁護士の役割
調停や審判などの裁判所での手続きになった際は、弁護士が大きな役割を果たします。
弁護士しか正式な代理人となることができませんので、相続人同士で揉めてしまっている場合の対応は弁護士の業務となります。
5-2.司法書士の役割
司法書士の役割は、主に不動産の名義変更(相続登記)です。
相続が発生した際には、約50%のケースで不動産を相続しますので、特に相続人同士で争っていない場合などは、司法書士に依頼することになります。
5-3.税理士の役割
相続時に発生する相続税というと税理士をイメージされると思います。相続税の申告は税理士しかできません。しかし、相続税の申告は、相続が発生した中でも4%程度の人しか関係ないと言われています。
5-4.銀行の役割
銀行でも不動産相続に対応することは可能ですが、実際の書類の取得などの業務は相続人が動かなければならない場合が多いです。相続人が持ってきた資料を元に司法書士、税理士に別途依頼を行いますので、全体的に費用が高くなる場合が一般的です。
6.よくある質問:どの街の不動産屋さんでも相談に乗ってくれるのか
不動産業者は普段の業務から士業との関わりが強いことから、不動産相続の相談時にコーディネーターとしての役割を果たすことができます。
しかし、士業の方でも相続を専門とされている事務所とそうでない事務所があるように、普段から相続案件を取り扱っている不動産業者に相談することをおすすめいたします。
さらに、不動産物件の取扱いだけでなく、建築もあわせて対応できる業者なら、リフォームしての運用などのアドバイスも可能です。
7.まとめ
不動産相続には様々な専門家が関わること、それぞれの事例によって対応の仕方が異なることから、一般的に難しいとされています。
円滑な不動産相続を実現するためには、まずは事前準備が重要で、家族信託も含めて元気な間に対策をしておくことが不可欠です。
そして、相続の対象となるのが不動産ですから、不動産の専門家である不動産業者の中でも相続に詳しいところに気軽に相談しましょう。